MQ: フロントセブンで自然的ギャップ交換を使う

以下から次に明示するところまでは、MatchQuatersの記事「Teaching Gap Exchanges & Defending the Zone Read」(https://matchquarters.com/2016/12/30/teaching-gap-exchanges/)を翻訳したものです。


ギャップ交換を教える&ゾーンリードを止める 

LBに自分のアンカーポイントをどうリードするか教え、アサイメントフットボールを実行する。

ディフェンスコーディネーターはフロントをスタントで動かすことをせずに、とあるギャップ交換をするシステムを採用することでゾーンリードチームに対抗することができます。もしそのチームが単純なインサイドゾーンスキームを使っている場合でもフロントセブンに対しギャップ交換を教えることで、フロントはランニングバックのコースを「カットオフ」して待ち構えているLBの方へとカットバックさせることができるようになるのです。フロントの構造を理解することは、ディフェンスが成功する上で大事なことです。LBに自分の「アンカーポイント」をどうリードするか教えることで、ディフェンスはゾーンスキームに対し柔軟になることができます。ディフェンスラインマンは自身のギャップアサイメントをLBと同様に把握してないといけません。スプレッド時代においてフロントセブンが、各ギャップがどのようにフィットされるのか、また各プレイヤーの動きがどのように後ろへのリンク(DL-LB-セカンダリー)に影響を及ぼすのか理解することは重要です。すべてのすばらしいディフェンスは、確かでテクニカルなシステムを出発点としているのです。 

スプレッドオフェンスは空いている「B」ギャップ、二つの義務を負っているLBをアタックすることを望みます。ゾーンリードは、ダイブオプションの変形にすぎません。バブルルート(レシーバーへのスクリーン)を加わえると、オフェンスは現代バージョンのトリプルオプションをしていることになります(orbitモーションを使うことでも類似の効果を得られます)。オフェンスがスプレッドでセットしてきた場合でも、オプションの構造はいまだにあるのです。DCがゲームプランを考え、スプレッドからのプレイを止めるディフェンスを作るにあたっては、ゾーンリードを多用するオフェンスを、トリプルオプションをプレイしているかのように見なければなりません。誰かがダイブ・QB・ピッチの責任を持つ必要があります。DCがどのようなフロントを選んだかということが、ゾーンリード/オプションチームにおいては、誰がボールをキャリーするかということに作用するのです。上の図では、ディフェンスは10パーの2×2に対してOverフロントです。Samはボックス内のアサイメント(フィット)を持っていないので、スロットをカバーダウンすることができます。MikeとWillはそれぞれ一つの、ランの際に責任を持つギャップがあります。フロントがRB(5&3テクニック)側にセットしているので、ゾーンリードのときに一番ありそうなシナリオはハンドオフ(ダイブ)であり、Willはボックス内の役割をまっとうし、Samはプレイの反対側へ向かうバブル(ピッチ)を引き受けます。DCはフロントをランニングバックの方にセットすることで、プレー前にオフェンスの展開、つまりQBがRBにボールをハンドオフするという展開を予測できるようになったのです。アライメントだけで、DCはオフェンスをコントロールできるのです。ゾーンリードを多用するチームを止めることに関しては、カバーダウン、また「B」ギャップを変えること、についての話で全てです。リード/オプションプレイをするスプレッドチームに対してDCができることのうちで一番大切なのは、だれが一番下手なボールキャリアーなのかを判断し、そのプレイヤーにキャリーさせることなのです。


自然的ギャップ交換をつくる

Overフロント

現代のスプレッドを止めるにあたって一番良いのは、実はフットボールにおいて最も古いフロントの一つであるOverフロントです。この独特なフロントは対スプレッドにおいて、ディフェンスをバランスよくさせ、カバーダウンさせ、またシンプルなRPOをしたいチームにRPOをさせないのです。Overフロントの構造それ自体が、スプレッドを止めることに適しています。あらゆるディフェンスにとって、スペースを消すことは一つの目的です。Samのカバーダウンによって、ディフェンスはピッチを実質的に消すことができ、パスの人数においてプラスワンをつくることができます。フィールドサイドの5と3テクは、ランに対して自然と壁になっています。Mikeはストロングサイドの「A」を埋めます。Willはバウンダリー(ナロー)側の「foldプレイヤー」です(パスカバーを捨て、ボックス内のランフィットへ向かうことがあります)。Willは二つの責任を持っているプレイヤーですが、QBのリード対象から離れているので、アグレッシブにボックスへと向かうことができます(もっとも、オフェンスはリードの対象を変え、アグレッシブなWillを利用することもできるのですが)。下図は典型的なゾーンリードに対するOverフロントの、フロント側の図です。

上図では、フィールドサイド(ワイドサイド)のDEは肩を正面に保ちOTの尻にそって動いています。彼はQBを見ていて、QBがプルしたら(ボールを引き抜いたら)パシュートしてタックルします。平行な肩は、QBに「give」リードさせることになります。3テクとMikeは自分のギャップ、そしてRBをアタックします。もし3テクがMikeの目の前を通り過ぎた場合、Mikeは次のオープンギャップ―だいたい「B」ギャップですが―を掘りにいきます。この自然的ギャップ交換によって、D-Lineは対ゾーンブロックの際、ボールへアグレッシブになり、RBを「文字通り」切り落とすことができます。LBは目の前を横切るいかなるD-Lineにも反応し、自分のギャップを「交換」します。バウンダリーサイドでは、Willはいかなるオープンギャップへとも向かいます。この場合、たいていウィークサイド「B」となるでしょう。 

「Fieldコール」 対FIB

フロントをフィールド側へセットすることで、DCはオープンスペースを守り、またオフェンスをサイドライン側へとプレイさせることができます。フロントがフィールド側へセットしているので、オフェンスのリードは変更されます。自分の側にはNoseがいるとわかっているDEは、ダイブを担当します。そこにはオープンな「B」ギャップがあり、最も近い「アンカーポイント」は「A」(Nose)にあります。このオープンギャップによって、ゾーンリードのときにDEはRBを追いかけることができます。上図ではDEがダイブリードに対し激しくダイブ側へ向かっているので、QBがボールをプルしています。WillはRBが自分の方へ向かった瞬間に、DEがダイブを引き受け、自分のキーが今やQBとなること(またボールが投げられた場合、スクリーンを追いかけること)を理解しているので、余裕をもってステイすることができます。DSは「ピッチ」、つまりバブル/WRスクリーンを引き受けます。Mikeがストロングサイドの「A」ギャップを担当していますが、NoseはRBをカットオフし、よって反対側の「A」を閉じます。このことにより、Mikeは「belly キー」(日本語)することができ、ウィークサイドへ戻ります。QBがボールをギブするとMikeは自分のギャップをアタックし、QBがプルするとボックスの外へと向かい、プラスワンとなります。このシンプルなギャップ交換はスプレッドチームのゾーンブロックに対して行われます。DLは自分の方へ直には来ないゾーン(ゾーンアウェイ)の際、OLのバックサイドをカットオフし、またOLを追いかけさせ、前に行かないようにさせ、LBをブロックしようとしたときにブロックできる位置から外れているようにさせます。 


変える 

オフェンスはギャップ交換を利用することができます。シングルギャップで対応する方法として、DEに「ホールド」コールを出したり、スナップ後にラインを動かすことでQBのリード及び「B」ギャップを変えたりするものがあります。オフェンスはあなたがどのようにゾーンスキームに対応しているのかがわかると、単純なマンスキームを使ってLBを「ピン」し、良いポジショニングをさせないようにできます。LBにフローリードをいつも教えておくことはとても大切です。彼らが担当のガードとアンカーポイントに目を向けているにしても、バックのコースとOLのブロックコースを認識する必要があります(ストレッチに対応するために)。 

ホールドコール

前述したように、QBのリードを変え、全てのプレイヤーが自身のギャップを守る状況にする最もシンプルな方法の一つは、DEに「ホールド」コールするというものです。DEは自分の外側の位置を保持、つまりすべてを「ボックス」します。「ホールド」に対するQBのリードはギブになるでしょう。よって、MikeとWIllはギャップ交換を心配することなく、自身のギャップへと対応することができます。もしオフェンスがRPOにおいてWillをリードしていた場合、ボックスへと向かうWillによってQBは投げのリードをすることになり、DSがスロットと1on1になること(遅れて、Willにサポートされますが)に注意してください。下図は10 pers. 2×2 [FIB]です。 

インテリアラインムーブメント

最も安全で効果的な、ゾーンを多用するオフェンスに対抗する方法の一つに、スナップ後にラインを動かして「B」ギャップとQBのリードを変えるというものがあります。スプレッドオフェンスは空いている「B」ギャップをアタックするものですので、同オフェンスにアタックする一番良い方法はそのギャップがある場所を変えてしまうというものになるでしょう。OCのコールはディフェンスのセットにある程度依拠しています。例えば対OverフロントでRB がフィールド側にセット、10 per. 2×2 のフォーメーションでゾーンリードの場合、QBはDEが自分の位置から動かないであろうことがわかっているので、大概RBにボールを入れるでしょう。ラインを動かして「B」ギャップを変えることでリードが変更され、またQBにためらわせるか、タックルされてノーゲインになるのにRBにボールを入れさせることになります。躊躇は、リード/オプション攻撃においては致命的です。 

上図ではディフェンスは、スナップ後のラインの動き(ムーブメント)を採用しています。そのため、ギブリードからプルリードへとリードが変化します。3テクが遠ざかっていくことを知っているDEは、自身の責任をQBからダイブへとチェンジし、RBへと鋭く向かうことができます。「A」と「B」ギャップがDLのムーブメントにより、担当者が存在することになるであろうことを把握しているMikeは、ゾーンアウェイに対し、ロックする(揺れる)ことができます(QBが責任となります)。2人のWRへのパス対応は変わらず、サイドライン側にアラインするWillはボックスの方へ向かうことができます。これは、対FIB(下図)のものと同じ動きです。 

QBのリードはギブに変更され、RBはスタントしているラインマンへ向かって走ることになります。3テクの目的は、Centerのバックサイドをカットオフし、ブロックされずにRBへ向かうことです、NoseはGuardの正面を超え、フィールドに壁をつくります。Mikeはロックバックし、RBのカットバックを担当します。Willはまず自分のアライメントを守り、ボールがハンドオフされるとRBが真っすぐ伸びてきた場合に備えて、ボックス中心の方へと向かいます。対ゾーンでは、Noseと3テクがRBをカットバックさせるでしょうから、Willはあまり動かずにすむでしょう。ラインムーブメントの肝は、急なカットバックを強いてRBの勢いを殺し、ブロックされていないLBへと向かわせることなのです。


結論 

ディフェンスのシステムは、多様なフォーメーションに対して柔軟にセットすることができ、また多様なプレイに対応できるようにするべきです。ギャップ交換を教えることで、そのディフェンスは実際にスタントをコールすることなく、スナップ後のムーブメントを可能とします(ゾーンが来る”ゾーンテゥ”の場合はそのままで、ゾーンが自分をどこかへ連れていく”ゾーンアウェイ”の場合はカットオフ)。また必要ならば、DCはスタントをコールしてギャップとリードを変えることができます。QBのリードを難しくさせることはリード/オプションをベースとするオフェンスと戦うときには不可欠です。インテリアラインムーブメント(スタント等)の使用は、QBにRPOに対してそのような難しいリードをさせ得ることになります。ディフェンスは諸々を変えて同じままではいないようにする必要があります。柔軟で可変性のあるシステムは現代のディフェンスにとり、現代スプレッドオフェンスがやることに対応・反応する上で必要不可欠です。DCがどのようにオフェンスに対応するかによって、直にオフェンスのプレイに影響します。フィールド側を強く守りカバーダウンを保証するOverフロントは、オフェンスを不自由に、限られたスペースで勝負するように強いるのです。 


もしあなたが、私が以前気書いたゾーンリードへのアタックについての記事を読みたいならば、ここをクリックしてください。

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以上の文章は、MatchQuatersの記事「Teaching Gap Exchanges & Defending the Zone Read」(https://matchquarters.com/2016/12/30/teaching-gap-exchanges/)を翻訳したものです。基本的に直訳していますが、ところどころ補足したり意訳したりしています。もし誤りがあれば下のコメント欄までお願いします。


翻訳元のMatchQuatersに関する情報です。MatchQuatersはCody Alexanderさんが運営しています。(以下MatchQuaters=MQ)


Cody Alexanderさんの紹介(MQへリンク)

Cody Alexanderさんの紹介を、MQのAboutの本文を翻訳することで代えさせていただきます。

「Cody Alexanderは現在 Midlothian高校 (5A – TX)のセカンダリーコーチです。Midlothianへ来る前、AlexanderコーチはTexasのLucasにある、Lovejoy高校 (5A)で2015から2016年の間、コーナーコーチをしていました。2014年はTexasのRichardsonにあるL.V. Berkner高校(6A) で、共同でディフェンスコーディネーターをしていました。高校へ行く前は、以前Arizona St. (2017) と Baylor (2011-16)でディフェンスコーディネーターをしていたPhil Bennettの下で、Baylor大学の卒業生としてディフェンスアシスタントをしていました。Baylorにコーチとしていたときはコーナーバックの育成をし、対戦相手の分析を責任としていました。また、ディフェンスのリクルートを監督・補助し、All-Big 12 LBであるEddie Lackeyを発見しました。Baylor時代ではスタッフとして三回ボールゲームへ(Fiesta, Holiday, & Alamo)、またBig XII Championship (2013)に出場しました。出身はミズーリ州リバティーで、現在はDFWエリアに住んでいます。

 学歴: M.Ed. Baylor University (2013); B.S. Southern Nazarene University (2009) 

 PLAYOFFS/POST SEASON: 
2017 – Area Finalist 5A D-II (Midlothian HS) 
2015 – Area Finalist 5A D-II (Lovejoy HS)
2014 – BCS Tostitos Fiesta Bowl (Baylor)
2012 – Bridgeport Education Holiday Bowl (Baylor)
2011 – Valero Alamo Bowl (Baylor)
 」 


Cody Alexanderさんの本(MQへリンク) 

Cody Alexanderさんは本を出されています。
ここでは、ある記事の下部に書かれていた本のPR文を翻訳して紹介し、リンクを貼っておきます。

 「ただのX、Oなどよりも深くいきましょう。哲学を持ちましょう。MQの本はAmazonとKindle ( 今は PDF でも— メニューにあるSHOPをクリック)で利用できます。」 

 Cautious Aggression: Defending Modern Football

他にも、Hybrids: The Making of a Modern Defense(paper) (Kindle) があります。


Cody Alexanderさんのtwitter

Cody Alexanderさんはtwitterをされています(@The_Coach_A)。


Cody Alexanderさんへの質問   

翻訳元サイトのCotactからか、Cody AlexanderさんのtwitterのDMで受け付けられているそうです。日本語での質問(ただし私の解釈になってしまいますが)なら下のコメント欄へお願いします。   


翻訳元記事から行ったほうがスムーズなことや当サイトからは行えないこと(コメント欄、リンクのシェア)もありますので、ぜひ元記事へアクセスしてみてください。

Art of american football #アメフト学

アメフトについて、主に戦術的なことを書いていくHPです。

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