MQ: Mikeをゼロに配置する(Bellyキー)
以下から次に明示するところまでは、MatchQuatersの記事「Zero the Mike & “What’s a ‘Belly-Key’?”」(https://matchquarters.com/2016/07/22/fmt-zero-the-mike/)を翻訳したものです。
Mikeをゼロに配置する&Bellyキーって何?
シングルギャップディフェンスにおいて、ダブルギャップを持つMike
Mikeをゼロに配置する
シングルギャップディフェンスでは、一つのギャップに責任を持つディフェンダーをそれぞれのギャップの正面に配置するのが、初期的思考です。理論的には、それはディフェンダーのキーリードやボールへのアグレッシブな反応を助けます。オフェンスはこのアライメントに対して、ゾーンブロックをしてきます。とりわけ、ゾーンリードを用います。ボールがスナップされるとオフェンスラインは決まった方向へステップし、するとディフェンダーも自分の動きがギャップの移動のためだということをわかりつつ、動くわけです。ディフェンスはこうしたプレイに対抗するために、ディフェンスラインとラインバッカーがお互いに(アンカーポイントに)作用しあい、ギャップ交換をするべきです。アンカーポイント(D-Lineのギャップ)に対しプレイすることで、ディフェンスはオフェンスを混乱させ、優位に立つことができます。
4-3スキームのOverフロントにおいて、Mikeの責任ギャップはストロングサイドのAギャップで、NoseはウィークサイドのAギャップが担当です。Mikeをゼロへ動かすことによって、つまりCenterの正面に配置することによって、Mikeは完全なシングルギャップを維持しつつ、ダブルギャップでランフィットできるようになります。一見この理論は矛盾しているように見えますが、Bellyキーという自然的ギャップ交換をすることでMikeとNoseは実際には2ギャップへの責任を持つことなく、ダブルギャップでプレイできるのです。たいてい、2ギャップへの責任を持つという仕組みはDLや3-4スキームで見られます。またMikeは、OLBをボックスの外に配置する伝統的な4-3スキーム(”pull-the-chain" 方式)において、普通ダブルギャップです。
”G” (2i)
Noseを2i、つまり”G”テクニックに配置することで、MikeとNoseはお互いに作用しあい、ディフェンスを有利にすることができます。多くの4-3のチームでは、NoseをCenterにシェードさせるものですが、2iにセットさせることでオフェンスラインに圧力をかけることができます。ゾーンスキームにおいて、2iの(つまりNoseの)メインキーがCenterだった場合、2iはかなり破壊的になることができます。そのシステムは、ゾーンスキーム下のCenterを誤った行動へと導くことができます。下図は、2×2、10perに対する基本的なOverフロントの図です。
ギャップ交換
ボールがスナップされると、Mikeは自分のメインギャップ、つまりストロングサイドの「A」の方へ1ステップ(lead step)踏みます。ギャップ交換スキームでは、Noseはウィークサイドの「A」へ垂直的に突入し、Centerに対してリアクションします。もしCenterがNoseの方へステップした場合、Noseは自分のギャップを保持し、Mikeはランであればストロングサイドの「A」へ詰めます。
もしCenterが”G”、つまりNoseの反対方向へステップした場合、NoseはCenterのバックサイドを追いかけて超え、すなわちストロングサイドの「A」を責任とします。そのため、Mikeはウィークサイドの「A」へとロックバック(揺れ戻る)ことができます。またそのNoseの動きは、ウィークサイドのGuardにストレスを与えることになります。なぜなら、Guardにとって自分の外側にシェードしているプレイヤーを離さないという技術は、とても基本的だからです。理論上、ウィークサイドのGuardはNoseを反対側の「A」へと押し出すか、追いかけるかします。CenterはMikeに対し過剰に動くことになってしまい、Mikeが自由になってウィークサイドの「A」を埋め、うまくいった場合1-on-1タックルする、ということを許すことになります。この一連のテクニックは”Bellyキー”と称されます。
Noseは自然なカットバックをRBに強います。欠陥があるでしょうか?いや、ないでしょう。Mikeは勢いよくオープンギャップへとロックバックすることができます。下にある動画は、Baylorがゾーンブロックに対しギャップ交換しているものです。二人のインサイドラインバッカーがともにどれだけアグレッシブにボールへと動いているか、また同時にどれだけ忍耐強く、自分の前の混沌とした集団をディフェンスラインが連れて行ってきれいにするという状況を作り上げているか、見てください。二人のLBはゾーンだとわかった瞬間、メッシュポイントへ注意を向けることができます。そして、ゾーンがフィールド方向へ流れていく一方、QBはサイドラインへと向かいます。
LBは、D-Lineがゾーンをどこかに連れていきそしてQBがおそらくプルするであろうことを知っているので、QBの外へのランへアグレッシブになることができます。この動画のプレイの肝は、オフェンスがPistolを使っているということです。ピストルオフェンスでは、QBの最初に向かう方向が、QBがリードする方向と一致しています(”flop read”を心配する必要がありません)。そのため、オフェンスラインはLBのレベルまで上がることができないわけですし、ILBはブロックされなくなります。
結論
Mikeを「ゼロ化」し、またNoseを2iに配置することで、ディフェンスは二つの「A」をダブルギャップスキームで守ることができ、オフェンスのゾーンスキームを大混乱に陥れることができます。ランゲームにおいて、ディフェンスはいつもプラスワンという状態を望んでいます。Noseを”G”に配置することで、NoseはCenterをリードして当初の自分のギャップを守るか、あるいは反対側の「A」を閉じにいくかをすることができるようになります。Mikeはいかなるときも、Noseが自分の前に現れると自分のステップを調整して反対側のギャップへと向かいます。”Bellyキー”は数多くのゾーンブロックに対峙する、すべてのディフェンスにとって良い追加システムですし、どんなフロントでも使うことができます。
**付け加えておくと、オフェンスは”Bang”というマン/ゾーンスキームを使って対抗することができます。その場合、Centerは2iの肩へヒットします。理想的にいけば、2iのバランスを崩し、ウィークサイドのGuardに追いつく時間を与えることができます。CenterはそれからMikeへ向かい、Mikeの初期的方向に従ってブロックをします。ランニングバックはCenterのバックサイドを通ろうとします。**
当記事に関連する記事(翻訳元サイト):Using Natural Gap Exchanges in Your Front Seven
以上の文章は、MatchQuatersの記事「Zero the Mike & “What’s a ‘Belly-Key’?”」(https://matchquarters.com/2016/07/22/fmt-zero-the-mike/)を翻訳したたものです。基本的に直訳していますが、ところどころ補足したり意訳したりしています。もし誤りがあれば下のコメント欄までお願いします。
元となった記事の著作権は以下に帰属します。
© 2016, MatchQuarters.com | Cody Alexander | All rights reserved.
翻訳元のMatchQuatersに関する情報です。MatchQuatersはCody Alexanderさんが運営しています。(以下MatchQuaters=MQ)
Cody Alexanderさんの紹介を、MQのAboutの本文を翻訳することで代えさせていただきます。
「Cody Alexanderは現在 Midlothian高校 (5A – TX)のセカンダリーコーチです。Midlothianへ来る前、AlexanderコーチはTexasのLucasにある、Lovejoy高校 (5A)で2015から2016年の間、コーナーコーチをしていました。2014年はTexasのRichardsonにあるL.V. Berkner高校(6A) で、共同でディフェンスコーディネーターをしていました。高校へ行く前は、以前Arizona St. (2017) と Baylor (2011-16)でディフェンスコーディネーターをしていたPhil Bennettの下で、Baylor大学の卒業生としてディフェンスアシスタントをしていました。Baylorにコーチとしていたときはコーナーバックの育成をし、対戦相手の分析を責任としていました。また、ディフェンスのリクルートを監督・補助し、All-Big 12 LBであるEddie Lackeyを発見しました。Baylor時代ではスタッフとして三回ボールゲームへ(Fiesta, Holiday, & Alamo)、またBig XII Championship (2013)に出場しました。出身はミズーリ州リバティーで、現在はDFWエリアに住んでいます。
学歴: M.Ed. Baylor University (2013); B.S. Southern Nazarene University (2009)
PLAYOFFS/POST SEASON:
2017 – Area Finalist 5A D-II (Midlothian HS)
2015 – Area Finalist 5A D-II (Lovejoy HS)
2014 – BCS Tostitos Fiesta Bowl (Baylor)
2012 – Bridgeport Education Holiday Bowl (Baylor)
2011 – Valero Alamo Bowl (Baylor)
」
Cody Alexanderさんの本(MQへリンク)
Cody Alexanderさんは本を出されています。ここでは、元記事の下部に書かれていた本のPR文を翻訳して紹介し、リンクを貼っておきます。
「ただのX、Oなどよりも深くいきましょう。哲学を持ちましょう。MQの本はAmazonとKindle ( 今は PDF でも— メニューにあるSHOPをクリック)で利用できます。」
Cautious Aggression: Defending Modern Football
Cody Alexanderさんはtwitterをされています(@The_Coach_A)。登録と、呼んだ記事をコーチ友達へリンク、リツイートをして、MQをサポートするように呼びかけられているので、ぜひ皆さんもお願いします。翻訳元サイトから行えば、いろいろスムーズでしょう。
翻訳元サイトのCotactからか、Cody AlexanderさんのtwitterのDMで受け付けられているそうです。日本語での質問(ただし私の解釈になってしまいますが)なら下のコメント欄へお願いします。
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