DLとLBの関係

 このページでは、ランストップにあたってDL・LBをどのような割合で配置したらいいのかということについて、基礎的な説明をします。DLはスクリメージライン(LOS)にセットするもの、LBはLOSから5ヤード程度離れたところにセットするものとして定義し、進めていきます。DLの特徴はOL間のギャップを刺しやすく、逆に他の場所へヘルプにいくことが難しいという点です。また、基本的にブロックを交わすことは難しく、しっかりとブロッカーと当たって勝負します。LBの特徴はギャップを刺しにくく、他の場所へヘルプにいくことは容易という点です。また、LBはブロッカーと当たって勝負することもありますが、ステップで交わせることもあります。

 実際の試合では自分のアサイメントによって制約が生まれるので上図のように単純ではないですが、一般的にはLBの方がDLよりもブロッカーを交わしやすいです。タックルも近くでする方がオープンフィールドでやるより簡単なように、ブロックを処理する際にも広いスペースがあった方が簡単です。このようにDLとLBにはそれぞれの特徴があるのですが、実際どう配置するのが良いか検証するために、極端なフォーメーションで考えます。 


 まずはLBが多いバージョンからです。1人1ギャップレスポンスとします。OFがDiveをしたとすると、おおかた上図のような詰め方になるでしょう。LBはLOSから距離があってすぐに距離を詰めることができないので、安定して(3-5ヤード程度)出されてしまいます。一方で、視野が広くキャリアーに集まることが簡単なので、緑で囲ったあたりに人が集まり、ロングゲインは防ぎやすいです。 

 逆にDLが多いバージョンではどうでしょうか。6-0-5で、OFが同じようにDiveをしたとします(詳細は下図参照)。DTはすぐにギャップを刺すことができるので、しっかりとOLと勝負できれば、LOS前後1ヤード程度に抑えられます。しかし、RBをタックルできそうな範囲(赤枠)内には1人しか人がいないので、もしOLに完敗するとロングゲインされるでしょう。 


 LBが多い場合はローリスクローリターン(L&L)、DLが多い場合はハイリスクハイリターン(H&H)と言えます。上記の2フォーメーションはあまりにも極端なのでほとんどのチームはベース体型として採用しません(GL前や大勝している場合は使う場合も)。大体“真ん中”の4-3、3-4がよく使われます。 ここまでDiveを例にして説明してきましたが、他にも4-3や3-4が好まれる理由があります。例えば、オープンフィールドへのラン(Sweepなど)を止める際には、DLが多いと不利に働きます。また、LBの数を削るということはパスカバーの人員を削るということなので、パスカバーの観点からLBの人数が求められます。 

 もうひとつ、LBを配置する利点があります。それはギャップ交換が容易な点です。OFはさきほどと同じDive、DFは4-3over(1ギャップレスポンス)の図で説明します。

 通常はDLもLBも決められたギャップを埋めますが、もしもDLがOLにうまくやられてしまった場合、上図のようにギャップ交換してうまく空いた穴を埋めることができます。LBは視野が広く、DLの動きを見て動けるために、こうした“ナチュラルな”ギャップ交換をすることができます。CはMが予想外に外に広がるので、ブロックするのが困難になります。ゾーンプレイなどのようにOLが横に流れる場合、このシステムは有効です。 また、これはプレー開始後の交換ですが、開始前に取り決めで交換してしまうこともできます。LBはスタンディング(2ポイントセット)なのでDLよりも簡単に移動でき、ブリッツ、スタンツ等が組みやすいのです。

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