横の穴(DL)
どうやってランプレイを止めればいいのでしょうか?OFは基本的に、どこかに穴(ホール)を開けることを考えています。DFは穴を作ってはいけないのです。
プレー開始前の状態では、穴はどこにもない状態となっているはずです。
DLがいないところはLBが詰めることができるようになっているはずです。OFは様々なブロックを用いて、DFを動かして穴を作っていきます。
穴があるとRBは減速せずに、そこを通り抜けることができます。また、LBやSafetyと勝負するスペースが広がります。特に、ゾーンプレーのようにRBがデイライトする場合、穴が生まれることは深刻な問題となります。もちろん、DFが相手のOFを完全にオーバーパワーしていれば適当に動いても穴は生まれないでしょうが、ほとんどのチームはそのような状況にありません。そのため、DFは穴が生まれないように、さまざまなルールを作る必要があります。そのルールが明確化されていなかったり、ルールを守れなかったりするとビッグゲインが生まれやすくなります。
穴には横と縦の二種類が存在しますが、このページでは横の穴を扱います。穴が生まれる原因はおおかたDLかLBなわけですが、まずDLが自分のアサイメント(責任)を守らなったらどうなるかを例示します。DLのアサイメントは自分がセットした穴、LBは破線が指す先だとします。OFはシンプルなダイブをしたとします。
例えば、下図の赤で示したところのように穴ができることがあります。RBは減速することなくLOS(Line of scrimmage=青線)を突破できます。またLOSの先にも結構広いスペースがうまれ、矢印で示した方向へ進めば5ydぐらいゲインできるでしょう。もしMikeがタックルできなければさらにゲインすることができます。
上図では、DTはRGを押し込むことに成功しています。つまりパワー勝負では勝っているのですが、勢いよく行ってしまって内側に食い込んでしまっています。結果、RBに反応してもギリギリ手が届かず、すれ違ってしまいます。ライン同士の勝負というのは決して力比べでだけではなく、OLもDLもそれぞれいたい位置・当たり方であるためのスキルを身につけ、またそれを実行する必要があるのです。
正しい動きというのを上に示しました。今度はDTが自分の外肩がフリーな状態をキープしています。あまりOLを押し込めてはいませんが、しっかり自分のアサイメントを守っています。RBはDTの半身が見えていることからやや外側にコースを変更します。緑線で囲ったあたりに行けばDTにタックルされるとRBは考えます。コースを変更すると、あるいはカットを踏むと、時間をロスします。こうして僅かでもタイミングが遅れることによって、SamやMikeがブロックを処理して、タックルできる確率がより高くなります。最大でも3ヤードぐらいのゲインに抑えられるのではないでしょうか。
DLがOLに完全にオーバーパワー、コントロールされてランプレイが止まらないなら仕方ありません。しかし、DLが相手と対等に勝負できるのにレスポンスを守らないことでランプレイが止まらないならば、本当にもったいないことです。自分がビッグプレイを起こしたい、気持ちよく暴れまわりたいと多くの人が思うかもしれませんが、チームの規律を守ることは何よりも重要です。自分のチームメイトを信頼してプレーし、また自分の動きが他者に影響を与えることを自覚することが必要です。また、例えタックル数が少なくても、しっかりアサイメントを守ったプレーヤーが正しく評価されることが、そうした規律を支える基底となるでしょう。
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